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相続は時代を映す

 相続は時代を映すと言われたりもするそうですが、今回はファイナンシャルプランニング的観点から、これからの相続についてのお話を。

「高齢化」

 相続の増加だけに止まらない影響があります。認知症リスクです。

 認知症を患うことで、財産を動かしたり判断できなくなる人が多数発生するリスクは、あまり認識されていません。

 2013年の厚生労働省が発表した推計によると、65歳以上の15%が認知症とされています。また、認知症ではないが、認知機能に問題を抱えた方は13%と、65歳以上の3割近くの方が、判断能力に何らかの問題を抱えているそうです。

「おひとりさま」「晩婚化」「少子化」

 子どもがいない場合の相続も増えます。

 生涯未婚率は、男性で20%、女性で10%で増加傾向にあり「おひとりさま」は、もはや少数の話とは言えません。

 相続のときには親兄弟が亡くなっている場合もあり そういった場合、法定相続人は甥や姪など関係が薄い人になります。さらには、法定相続人自体がいないケースも増えているそうです。

 親兄弟が存命の場合でも、お互い高齢であるために、認知症で手続きが難航するという可能性もあります。

 「晩婚化」は、子どもを持ちにくい可能性もあり、「少子化」も含む相続のリスクが高くなります。

 ひとつ例がありますが、結婚のタイミングで夫の親から住宅購入資金の贈与を受け、住宅を購入した夫婦について考えます。

 万一夫が亡くなると、当然妻が相続人になりますが、子どもがいない場合は、同時に夫の両親が相続人になります。

 その場合、その両親からの贈与で住宅を購入していると、妻がそのまま住宅を相続するのは納得できない、と夫の両親が思うのも不思議ではないのです。

「遺言書」があるのにトラブル!?

 トラブルに備えて遺言書を作成したはずなのに・・・というケースもあるようです。ドラマのように想定外の相続人が・・・など、そのような話は別にしても、意外に見落としてしまうのが、経済情勢の変化です。

 遺言書を作成した時点では、バランスの良い分配内容になっていたとしても、例えばリーマン・ショックの前後では大きく市場も大きく動きましたし、時間が経ち偏った分配内容になってしまっていてトラブルになるケースも考えられます。

 遺言書も定期的に見直しが必要といえるかもしれません。

 以上は、一般的な相続をイメージして書いてきましたが、会社の相続・承継にも投影できる事だと思われます。後継者が見つからない承継に悩まれるというお話も聞きます。

 共通するのは、本人が元気なうちに準備を進める事が有効であるということです。

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