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不動産の証券化を行うとき

 不動産の売買は、売って利益を得、使って事業をし、貸して利益を得るなどキャピタルゲインを念頭に行われてきました。企業の多くは、会社の信用を前提として主に不動産を担保として間接的に資金調達して事業規模を拡大してきました。地価が右肩上がりで上昇していたとき経済は驚異的な発展を遂げましたが1990年前後よりの地価下落により銀行は不良債権に苦しみ、貸し出しに慎重になった為企業側も直接資本市場から資金調達する必要に迫られました。

 「不動産の証券化」とは不動産が生み出す収益を利子に割り当てることで不動産に有価証券として流動性や小口金額性などの特性をもたせ、投資家は利子、配当などインカムゲインを期待します。                                                  

 平成10年9月1日に「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」いわゆるSPC(Special Purpose Company:特定目的会社)法が施行されました。SPC法は証券発行によって得た金銭で特定資産(不動産・債権・信託受益権)を取得してその管理処分によって得た収益で発行証券の元本、金利、配当を支払っていくことつまり不動産の流動化をおこなっていくことの確保と証券購入者の保護を図り、一般投資者による投資を容易にして経済の健全な発展を目的としています。SPCは特定資産の取得と証券の発行のみの目的で設立される社団で不動産の管理運用業務には携わりません。組織としては特別簡素化され余分なコストがかからないように図られるとともに税制上の優遇措置が講じられています。今後、資産としての不動産は収益性が求められ企業としては良質な資産を持っていれば「資産の質と仕組み」により資金調達が可能です。

 不動産鑑定が必要な場面として資産所有者(資金調達者)からSPCに資産譲渡する場合や格付け機関がSPCが発行する社債の格付けを行う場合、投資家への情報開示を行う場合などがあります。特に注意を要する点として客観的市場価格の算定に加えて、資産が生み出す収益までも考慮に入れた投資価値の見極めが重要な事となります。

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